2011年2月22日火曜日

自尊自立の為の家庭の医学 番外編1 パスツールとビシャンプ

病気の原因はどこからやって来るのか

生命がどのように生まれたのかということについて今日までいろいろな研究がおこなわれてきたことと思いますが

A.それは無から生まれた、何もない状態から物質、物が生まれた(自然発生説)

B.世界には常に物質があって、その物質が進化を続けて今日に至った

創造されたのか?進化してきたのか?

フランスの有名な科学者パスツールも最初はAの自然発生説を信じていました。
おそらく宗教的な考えに基づくものではないでしょうか。

彼の同僚であったビシャンプはある3つのことに着目しました。
1.砂糖からアルコールが出来ていく発酵の状況
2.傷口の腐敗(化膿)
3.葡萄のある病気

ビシャンプはこの3つの過程の中に非常にちいさな微生物を発見しました。
この非常に小さな微生物をマイクロザイマスというそうです。
細菌とかカビなどの区別なしにすべてを包括してマイクロザイマスという微生物としたそうです。

1.発酵のプロセスに於いてはマイクロザイマスが砂糖を分解してアルコールを生成する
2.腐敗のプロセスに於いてはマイクロザイマスが組織体を分解して膿を生成する
3.葡萄の病気のプロセスに於いてはマイクロザイマスが葡萄の皮を食べ、その結果毒を生み、その毒が植物全体を殺したという発見をしたというのです。

パスツールはビシャンプこの発見から、3つのプロセスに於いて、マイクロザイマスの活動によりこの病気が発生したことを肯定しその上でそれぞれに違った種類の微生物がいると仮定しました。
そしてマイクロザイマスは外部から侵入するものであるとしています。
マイクロザイマスが体内で毒を生成し、はしかになった時ははしかのマイクロザイマスがその症状を作り、天然痘になった時ははしかのマイクロザイマスではなく、天然痘のマイクロザイマスが起因しているというふうに考えました。
一方、ビシャンプの方はさらに研究を進めすべての生命体の中には常にマイクロザイマスが存在している、ということを提唱しました。
組織体の状態によってマイクロザイマスが決まる、という考え方です。
生命体とは人間でも植物でも何でも、その生命体の組織体の中にマイクロザイマスがいて、それが宿っている母体をソイル(土壌)と呼びました。


パスツールとビシャンプのどちらを選ぶかでずいぶん違いますね。
パスツールを選ぶとしたら、主役は外部から侵入してくる微生物です。
その場合、私たちはどのようにしたら病気にならずにすむでしょうか。

微生物を侵入させないように周囲の除菌殺菌などを徹底していかなければなりません。
侵入させないことによって感染を防ぐのと同時に感染した人を避けなければなりません。
感染した場合は、体内の細菌を殺してしまわなければなりません。

ではビシャンプが正しいとしたら、どうでしょうか。
ソイル(土壌)をきれいにするように努めて、常にあるマイクロザイマスに対抗できるようにしておくことになると思います。
それは実際にはどのようにすることでしょうか。

皆さんももうお気づきのことと思いますが、自然療法のプロセス、方法論はビシャンプの発想から来ているのですね。
食生活を見直す、体にとって毒となるものをなるべく摂らない、毒は体の外に出す、夜は寝て朝起きる、頑張りすぎず、のんびりだらけすぎず、規則正しい生活を心がけること。ライフスタイルを考え直すことが大切だということなんです。
しかし、ここを見直さずに変えずに、なんとかやり過ごせないかというのが現代人にありがちなことのように感じます。

19世紀のヨーロッパでも、選ばれたのはビシャンプではなくパスツールの方でした。
まだ抗生物質も発見されていない、ワクチンもない、製薬会社もない時代でした。
大量の薬を作って人々に与え、衛生管理を徹底するのはとても大変なことであったと思いますが、パスツールの方が選ばれたのでした。

ライフスタイルを変えるのと、多くの時間とお金を費やして、現代の医療体制を整えるのと
はたしてどちらが楽であったかというと、人々は後者の方を選んだのです。
なぜでしょう?
パスツールの場合は病気は微生物のせいにできますが、ビシャンプの場合は自分を改めなければいけません。楽さというのは金銭的なものより、感情的、情緒的、心理的な楽さの方を選んでしまうものなのかもしれません。
自分には全く関係が無い、原因が無い、他人や外のものを批判する方が、ずっと楽だということだと思います。
私たちはついついそういう方向に流れてしまう性質がある。

こういう時に科学的根拠というものに逃げてしまわずに、どうしてビシャンプを選ばずにパスツールを選ぶのか、を自らの心に問いかけてみることも大切なことではないかと思います。


5 件のコメント:

Love Nippon さんのコメント...

寄稿ありがとうございます。
かれこれ20年ほど前にこの話を聞いて、それ以来自然療法や免疫療法の真似事してきました。
そんな経験の中で、ここに書かれていることは正しいんじゃないかって思います。

匿名 さんのコメント...

ビシャンプについて初めて知りました。
人間は楽な方を選びその結果が現代の医療に繋がっているとは。
大変興味深い内容でした。

koe さんのコメント...

Love Nipponさま
いつもありがとうございます^^
頭で理解してもなかなか実行に移せる人は少ないのですよね・・・素晴らしい直観力と行動力ですね^^現実に健康状態に問題でもない限りは試してみようとなるのは難しいのが現状です。それは昔から同じなのかもしれませんね。だから病は恵みだと言われるのでしょうね。

匿名様
コメントありがとうございます。
ここで強調したいのは、楽さは心理的なものの方が大きいということなんです。今の私たちは断然パスツールの方が楽なんですが、200年前の人々もこれを選び、(アロパシーの)医療体制を整えてきたこと、このことに人間のこころを知る手がかりがあるというふうに感じます。

wakaki さんのコメント...

これは、優しいようでいて厳しいお話ですね。勉強になりました。

ちゃんとした生活送らなくっちゃ!!

koe さんのコメント...

wakakiさま
コメントありがとうございます~^^
いえいえ、若くて健康な人は無理に我慢して仙人のような生活をする必要はないと思います。
ちょっと具合が悪くなったときに、そういえば・・・って感じで思い出せたら充分かと。。