2011年2月17日木曜日

自尊自立のための家庭の医学 第一回 「症状」はお知らせ

自尊自立のための家庭の医学 第一回
「症状」はお知らせ

病気とは「バランスの崩れた状態」、そしてその「バランスが崩れたまま滞った状態
と捉える事が出来ます。
その病気の結果として症状があります。
病気といってもいろいろな病気があります。新しい病気がどんどん増えています。西洋医学では症状によって分類し病名をつけていますが、自尊自立のための家庭の医学 でご紹介した医学の5つの流派のうちの1.~4.の療法ではあまり細かい病気の分類や病名を重要視しない場合もあります。
ここでは、病気を広い意味で捉えて、バランスの崩れた状態とします。


例えば風邪。
ウイルスや菌はいつも空気中にたくさんあって、体の中にもバンバン入ってきています。
しかし無理をしたりして免疫力・抵抗力が弱っている時にそれらの菌やウイルスに感染したら発症します。
くしゃみ、鼻水、咳、喉の痛み、熱などの症状が出てきます。

これらの症状は、風邪をひいた結果です。原因は風邪という病気になっていることです。
つまりくしゃみ、鼻水、咳、喉の痛み、熱は原因ではありませんので、これを止めることは体にとって根本的解決ではないということなのです。ですので普段ならやっつけてしまうウイルスや菌に抵抗できなくなっている体を元の状態に戻すことが正しい手当といえるのではないでしょうか。

これらの症状は苦痛を伴います。熱が出ると動けませんから、通常の生活に支障をきたします。だから早く無くなってほしいと思いますよね。苦痛や不便さにばかり目が行くと「病気、症状=悪」という考えになってしまいます。悪は排除しなければいけないという考え方があります。そこでそれらの症状を取り除こうとします。熱には解熱剤、咳が出れば気管支拡張剤、腹痛があれば腸の動きを止める、などです。しかし、熱が出るのは体温を上げて免疫を活性化し外敵と闘うためですし、咳、嘔吐、下痢などは外に出そうとする反応です。体は、そうする必要があってしていることと言えると思います。そして多くの薬はその症状を取り除くというよりは、抑えるものがほとんどです。

実際に、風邪のときに解熱剤で熱を抑えると症状が長引くというデータがアメリカにあります。そのためか最近では解熱剤を簡単に処方する病院は少なくなっているようです。また、日本でO-157が流行った時も、下痢止めを飲んだ患者の死亡率が高かったことが報告されているそうです。

ウイルスや菌に感染すると、そのせいで症状があるのだから、ウイルスや菌を殺すことは対症療法ではなく原因治療のように思います。たしかにウイルスや菌は原因の一つです。しかしウイルスや菌が体内にあっても発症しない事もあります。ヘルペスウイルスは子供の頃に水ぼうそうをして以来多くの人の神経節に潜んでいます。そして体の抵抗力が落ちた時、口唇ヘルペスや帯状疱疹となって出てきます。結核や風邪もいつのまにか感染し、そして知らない間に治癒していることもあります。このように、かならずしも感染=発症ではなく、ウイルスや菌は必要条件に過ぎず、普段から体内には多くの菌やウイルスが入ってきたり潜んでいたりして、何らかの原因でそのバランスが崩れたときに症状としてあらわれてくると考えることが出来ます。

症状は「バランスが崩れているよ」という体からのお知らせです。
そして症状は、体が元の状態に戻ろうとする反応ともいえます。
同種療法では、症状は私たちの体に備わっている自然治癒力が働いている過程であると考えられています。だから症状をむやみに抑えてはいけない、体の外へ出そうとしているものは出し切るように促します。
症状が病気の原因を探る上での貴重な手掛かり、お知らせであるならば、これを抑えようとすることは警告のアラームをたたき壊して、ほらもう鳴らなくなったから安心と言っているようなものだという気がします。


長引く咳や、発熱時のゾクゾク、フラフラ、お腹が痛くて何度もトイレに行くetc・・・は実際、不便なんですが、すぐに薬を飲んでしまう前に最近の生活を振り返って、無理をしていないか、ストレスをためていないか、何か悩んでいることはないか、思い出してみるのも大切なことです。
やらなきゃいけないことがいっぱいで忙しい
あれもしたいこれもしたい
そんな自分の思いだけで無茶をしていませんでしたか?
体はそういう無茶にずっと応えてきました。でもそろそろそれに応えるのも厳しいと言っているのかもしれません。病気になったときだけ、急に心細くなって早く楽になることばかり考えてしまいがちですが思い当たることがあれば、まずはゆっくり体を休めて、その状況を改善する方法を考える、これもバランスを正すこと=自分で出来る治療かもしれませんね。

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