2011年2月4日金曜日

君が代について考える

私が「君が代」を初めて教えてもらったのは、小学校の時の音楽の時間でした。
音楽の先生が、「賛否両論あるけれど、国歌を歌えないのは恥ずかしいから。」と言って一回だけ教えてくれました。何だかこっそり神妙になって教えてくれたような記憶があります。

行事で流れることはあっても、一回で覚えられるわけがなく、その後父が何かの時にすっごく上機嫌で教えてくれたことがあって、まあ行事の度に歌うように心がけてやっと歌えるようになったというところです。

本日はこのように国歌なのにどこか余所余所しい思い出のある君が代について考えてみます。

君が代の出自には諸説ありますが、
「歌詞の出典はしばしば『古今和歌集』(古今和歌集巻七賀歌巻頭歌、題しらず、読人しらず、国歌大観番号343番)とされるが古今集のテキストにおいては初句を「わが君は」とし、現在採用されているかたちとの完全な一致は見られない。「君が代は」の型は『和漢朗詠集』の鎌倉時代初期の一本に記すものなどが最も古いといえる(巻下祝、国歌大観番号775番)。(wikipediaより)
だそうです。

他にも元の元は万葉集の挽歌だという説や、九州王朝時代を期限とする説もあるようですが、賀歌として庶民に親しまれ、江戸時代初期の流行歌「隆達節」にも唄われたとか。

この「隆達節」というのは日蓮宗の僧侶、隆達が創始した江戸時代の流行歌。
ボストン美術館には隆達自身の描いた屏風があるそうです。

六曲一双の屏風に、遊里の情景が描かれ、最初の第一首が『君が代』の歌詞と同じ歌で始まり、
[一面]
おもいきれとは身のままか誰かはきらむ恋のみち
雨の降る夜の独り寝はいずれ雨とも涙とも
[二面]
人は知るまじ我が仲を頼むぞ側の扇も帯も
この春は花にまさりし君持ちて青柳の糸乱れ候
[三面]
花を嵐のちらすような雪に袖うち払ひ誰かおりやらうぞの
悋気(りんき)心か枕な投げそ投げそ枕に咎はよもあらじ
[四面]
月もろともに立ち出でて月は山の端に入る我は妻戸に
そなた忍ぶと名は立ちて枕並ぶる間もなやの

と続くのだとか。
うーん、ラテン系にも劣らぬ情熱的なおうた!!

「遊里で歌うような恋歌を国歌にだなんて、何とはしたない!!」
なんておっしゃる有識者の方々も残念ながら中にはいらっしゃるようですが、遊女に惚れこんで多額の資金をつぎ込んで結婚を果たした人もいますし、そのための身請けというシステムも確立していました。

人は恋をして家族を作ります。

生命体が、細胞という基本単位から成り立っているのと同じように、国家は家族という基本単位からできています。

だから国家と書くのです。


君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで

君とずっと一緒にいられますように。
小さな石が大きな岩となって苔がむす、その先まで、この時が続きますように。

恋歌と考えた時の意訳ですが、愛しい人への想いが、国家への想いと繋がる。
こんなに短い歌で、大事な事を表現している国歌、なかなかないですよね。
1903年にドイツで行われた世界国歌コンクールで1位受賞するという名誉は伊達じゃないです。

8 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

愛しい人、大事なものに対する思いは、時代や国を越えるんですね。
短い歌に、その思いを込めて伝える日本語の素晴らしさを感じます。
とても素敵な歌だと思います。

Love Nippon さんのコメント...

寄稿ありがとうございます。

郷援社の人 さんのコメント...

日本の国歌は、血なまぐさい諸外国の歌詞に比べ誠に雅で国柄に相応しいと思います。

愛する人の不滅を詠うかのような内容こそ、繁栄の礎です。

明治になり、「君が代」を天皇陛下とする解釈となりましたが、時代背景を考えるに、諸外国同様、統一をはかる必要があったからやむを得ない側面があります。

その解釈ならば、天皇陛下を「君」と呼び、主格を下げる格助詞「が」を付け、御代でなく「代」とされるのはどうしたことだろうと疑問に思っています。

不動明王 さんのコメント...

「君が代」深い意味合いがあるのですね。
詳しいことをお教えいただきありがとうございます。
私個人的には、2671年続くご皇室がこれからも永遠に続くのは、私の家庭もご皇室と同じように続いていってもらいたいと願いを込めた歌と思っています。
君と民が一つになるのが、国歌「君が代」である気がします。

wakaki さんのコメント...

匿名さん

コメントありがとうございます。
変身遅くなりまして申し訳ありません。

きっと本当に大事なものはこの先もずっと変わらないものなのだと思います。昔の人はそれを知っていて歌にしたのでしょうね。
そう思うと凄いです。

wakaki さんのコメント...

LOVENIPPONさん

いつもお世話様です。

wakaki さんのコメント...

郷援社の人さん

コメントありがとうございます。
返信遅くなって申し訳ありません。

かなり血生ぐさいものもありますが、それもその国の歴史、軽視することは出来ません。

日本にはせっかくこんなに素敵な国歌があるのだから大事にしたいものですね。

確かに「君」「が」「代」って不思議かもしれません。「我が君は」ならすんなり通じますけど。

wakaki さんのコメント...

不動明王さん

コメントありがとうございます。
返信遅くなって申し訳ありません。

色々な意味合い、おっしゃるとおり意味合いというより願いでしょうか。
いずれも子孫繁栄や、平和な世を願う歌だと思います。
深く、かつ貴賎なく誰にでも通じるシンプルな願い事。
君が代も教育勅語も「君」と「民」が一緒になって国を動かしていくという点で一貫してるのですね。何か凄い。