2011年4月28日木曜日

自尊自立の為の家庭の医学 番外編3 毒を以て毒を制するの本当の効用

薬には毒が使われることが多い
これは皆さんよくご存じのことですよね。
「毒を以て毒を制する」なんていう言い方もします。後者の毒は体を病気にしてるもの(体毒)であり、前者はそれを治癒する為に体内に入れる毒=薬のことかな、と。

鎖国中の江戸時代には、世界で初めての全身麻酔の開発に成功した華岡青洲という外科医がいます。彼は蔓陀羅華(マンダラゲ)や草烏頭(ソウウズ・・・トリカブトともいう)など数種の植物を組み合わせ、動物実験と実母や妻への試用を経て「通仙散」という麻酔薬を発明しました。そして文化元年(1804年)10月13日、全身麻酔を使った乳がんの手術を行いました。これは、1846年にアメリカで行われた、ウィリアム・T・G・モートンによるジエチルエーテルを用いた麻酔の手術よりも40年以上前のことだそうです。

通仙散を服用すると

一時間ほどで尿意を覚え脈が速くなり動悸がして舌や唇が乾いてきます。顔が酒に酔ったように赤くなり瞳孔が開き、少し熱が出て独り言を言ったり体の不随意運動などの症状があらわれ、やがて意識が薄れていきます。手術が可能な無痛状態になるには3~4時間かかり、麻酔の効果は5~6時間続きます。
とあります。

しかし、毒を体に入れた時の反応というのは、実は一次反応と二次反応というものがあります。
毒が体内に入ると、まずは体は緊急事態ですからパニック状態になります。例えば
呼吸が速くなり脈拍が上がり、筋は収縮し、血圧が上がり、口の中が渇き、不随意運動を起こします(交感神経が優位な状態)。
これが一時反応、毒を入れたことによる直接的な生体反応です。そして、自律神経はホメオスタシスによって拮抗していますから交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態へと変わって行きます。
呼吸数や脈拍は下がり、筋は弛緩し、瞳孔は開き、尿意を催し、血圧が下がり、やがて意識を失っていく・・・わけです。
これは、一次反応とは逆の反応であり、毒を入れたことによって起こった一次反応から誘発された体をバランスさせるための反応なんですね。
これが、自然治癒力といわれるものなのです。

この二次反応を起こすためにわざわざ毒を体に入れるという訳です。
そして一次反応が強ければ、その分二次反応が強くなります。
毒を飲んで心臓が麻痺して死ぬ、というのはもうお分かりですね。直接の死因は毒によってというより二次反応によってであるということです。
薬というものは、二次反応である自然治癒力を誘発させるためにあるのであり、薬そのものが治すのではなく、治すのはあなたの体ということになります。そして強い二次反応を起こさないために、その量がとても重要なのですね。

量を問えば、毒にならないものはありません。いくら体にいいものでも摂りすぎれば健康を害しますし、毒も匙加減によっては健康に役立つわけです。
物質を体に入れた時の生体の反応、とても興味深いですね。
長期間、薬だけでなく、同じものを摂り続けることも考えものではないかという気がします。

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