2011年4月1日金曜日

日米安保条約と原子力米艦艇の日本寄港

今日も『占領憲法下の日本』(谷口雅春著)からです。
書かれたのが昭和44年ですので、若干情勢には変化があるかもしれません。

日米安保条約と原子力米艦艇の日本寄港


 日本の港にアメリカの原子力空母や原子力潜水艦が入港するごとに社会党は反対デモをするのである(佐世保では公明党も参加した)が、アメリカは日米安保条約によって日本を防衛するためには、その原子力空母や原子力潜水艦が日本の近海を巡視し、日本にときどき帰航する必要があるのである。現行の日本国憲法が日本自身が戦力をもたず、交戦権をもたないと規定し、その前文に「平和を愛好する諸国民の公正と信義に信頼して、日本の安全と生存とを保持しようと決意した」とある以上、日本自身が日本を守らず、日米安保条約によって、信義あるアメリカが巨大な国費を投じて東洋の平和のために、日本の防衛のために巡回してくれるのは、決して違憲ではなく、この憲法の前文に調和するものであり、拒絶する理由は一つもないのである。
 ジャパンタイムズ論勢顧問として有名ある外交評論家の斉藤忠氏は次の如くいっている。
「日本人ぐらい国際的にお人よしというか、のんきな国民はないと思うんです。たとえば日本列島のすぐ鼻の先のわずか数百キロしか離れていない向こうの大陸の沿岸に、十八隻のソ連の原子力潜水艦が来ているということを日本の国民はどのくらい知っているだろうか。百数十隻の潜水艦が集まっているというのですね。そのうちの二十隻近くは原子力潜水艦・・・第二次大戦後の二十年間にソ連はどれほどのことをやって来たか・・・駆逐艦の建造数二百隻です。それから巡洋艦の建造数二十七隻、潜水艦に至っては戦後建造したものが四百隻です。四百隻のうちの五十隻は原子力潜水艦です・・・」(「国民の声」四十三年一月五日号)
 私の考えでは、その半分は日本海、太平洋及び印度洋方面に配置されている。もっともその速力が速いので、どこへでも自由に出没できるので、必要に応じてもっと多くの艦艇を日本の周辺に配置することができる。それをイザという時にいかにして防衛するかというと、日本の現在の自衛艦では防衛のしようがないのである。やはりアメリカの速力の速い艦艇によって防衛してもらうより仕方がないのである。
 斉藤忠氏は語をついで、こういわれている。
「日本のような自分の国に何一つ資源のない、食糧もできない、全部を海上の交通に依存して、船によってものを持ってくる国というものは、海上交通を打ち切られて、海上を封鎖されたら、それがもうその国の最後だ。しかもそれをするのに潜水艦は絶好の武器だ。一個師団の陸兵もいらない。今すぐに日本の目の前の海に百数十隻終結できる。しかもそのうちの十八隻は、ほとんど手のつけようもない原子力潜水艦だと言うこと。原子力潜水艦は非常な高速で走りますからね。一番速いのは、アメリカのものでだいたい水中で六十ノットです。これでは、海の上のどんな巡洋艦だって駆逐艦だって追いつけません。どうかすると千フィートくらいの深海を行動する。それではヘリコプターだって、航空機だって手の出しようがない。そういうのが日本のすぐ近くに終結している。それが日本の運命に対してどんな意味をもつかということに、日本人はあまりに無関心ではないかと思うんです」
 斉藤忠氏のこの談話をきいたら、日本の国防について、日本が重大な危機に晒されている、原潜を駆逐するにはやはり原子力潜水艦や原子力空母がいるということが分かるのである。しかしそれを説いてたら、憲法違反だといって大臣が辞職させられるような憲法、そんな憲法をそのままにしておいてよいはずはないのである。

『占領憲法下の日本』谷口雅春著(日本教文社 昭和44年9月25日12版)

あまり詳しくないのですが、聞いた話によれば日本のステルス技術は世界でもトップレベルのものだそうです。
潜水艦にとっては、見つかりにくいというのがその性能を語る上で重要とか。
海中で60ノットで走る潜水艦。
これを時速に直すと110キロにもなります。
高速道路を使って車で移動するよりも速いですね。
速くてみつからない潜水艦。
恐ろしい存在です。

日本の技術をもってすれば、とても高性能なものができそうなものですが、現憲法体制ではなかなか難しいでしょう。
現憲法体制は、戦後体制であり、国連体制でもあって、占領体制の延長と言えます。
その体制の上で、国会が作られ国会議員が選ばれ、司法や行政が組織され、国際関係が構築されているのが現実ではないでしょうか。
これは体制の問題ですから、憲法九条を改正するといった小手先の対応では解決できません。

もともと法的に無効な日本国憲法ですから、日本国憲法は憲法ではありません。私たちは、日本国憲法の無効を確認するだけでよく、正統な認識に戻った上で、現実に沿った修正を加えて、この憲法体制から抜け出すことを優先すべきです。独立国として主体的に国防を考えるべきなのです。
少なくとも憲法というものは、その国が単独で決められるものですから、他国から注文を付けられる筋合いはないはずです。

日本が自立していないと思うのは、軍事だけではありませんね。
食料もエネルギーも海外の資源に依存しています。
軍事的に非独立であり、経済的に非独立であり、政治的にも、占領体制の延長にあるため、非独立です。
「独立か」「依存か」という観点で将来のことを議論するのが、私たちにとって有益ではありませんか?

0 件のコメント: