2011年1月10日月曜日

成人式と元服

成人式は終戦後に埼玉県の蕨市で行われた「青年際」が起源で、その日が1月15日だったことで、成人式が1月15日の行事として定着し、1998年の祝日法以降に1月の第2月曜日に移動しました。
「青年際」は敗戦によって元気を失った状態を危惧し、未来を背負って立つ若者が明るい未来を感じられるように励ますことを目的としたものです。

これに対して、元服は奈良時代以降に行われるようになった男子が成人したことを知らしめるために行われる儀式で、数え年で12-16歳の男子が氏神の前で服や髪型を大人のものに改めます。

氏神は地域の豪族である氏族組織の祖神として祀っていた神であり、平安時代あたりから、氏族とともに生活を営む地域の人々を氏子と呼ぶようになりました。
氏族ごとにいくつかの氏神があり、藤原氏であれば春日神(春日大社)、橘氏であれば梅宮大社、源氏の八幡神(八幡宮)、平氏の巌島明神(巌島神社)といった関係があります。皇室の祖神を祀った伊勢神宮はもともとは皇室のみの氏神でしたが、現在では日本人全員の氏神として位置づけられているようです。

神道では先祖を崇敬するという祭祀を中心に置いてきましたが、氏神の前で大人になったことを宣言し、氏神と成人との関係を確認するというのも、神道の行事の一つであり祭祀の実践でした。

両親またその両親と先祖を辿って行く先に想起する神との関係を意識することで、大切な命を受け継ぎ次の世代のために学ぼう、働こうという意識を持つ。そういったことが現代では軽視されているかもしれません。
元服する年齢のお子さんのいる方は、一度このようなことを意識して、お子さんを氏神様のところに連れて行って、日本人が長い間やってきたことに思いを巡らせる。そんな機会があってもいいかもしれません。

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