2011年5月6日金曜日

自尊自立の為の家庭の医学 第三回 自然治癒力とは

何かあったらすぐ薬を・・・という習慣から少し離れるには自然治癒力を上手く利用できればいいのですが。
でも自然治癒力っていったいどういうものを言うのでしょうか?
私たちの体には自分で治そうとする力が備わっています。でも少し調子が悪いと、仕事は休めないしとか、ちょっと気弱になったりだとかで急いで病院や薬局に駆け込み薬を買ってきたりしますよね。自分がどうなるのか、この具合の悪さはいつまで続くのか、治るのか、もしもっと悪い病気だったら?そういう恐怖が元にあってとにかく早くこの症状を消してしまおうという気持ちが働く・・・これはお医者さんや薬のせいではなくて私たちの心の問題です。つまり死を恐れる気持ち、それが病気や症状を悪と決めつけたいのだと思うのです。

とは言え自然治癒力をはっきり定義付けするのはとても難しいのですが・・・
近頃は、現代医学の場でも自然治癒力のことを聞きますね。自律神経系、免疫系、内分泌系(ホルモン)の働きをそのように呼んでいます。

自律神経をつかさどるのは「視床下部」です。視床下部はホルモンの分泌(内分泌系)や免疫系の調整においても、大切な働きをしています。これらの調整機能はホメオスタシスという体内の環境を一定に保って生命を維持する為の働きです。
しかしストレス・不安・恐怖・不快などによって、自律神経が乱れると他の調整機能にも負担がかかってしまいます。結局のところ心と体はつながっているので、心をどのように安定させるか、自分のものの見方・感じ方・考え方、そういうものが身の回りで起こる出来事を自分の体にどのように影響させるかを決めています。心のホメオスタシスも大切になって来るんですよね。たとえば、悲しい時や困った時にため息をつく。これは心の苦しさを少しでも和らげようとする無意識の反応です。怒りの感情を爆発させることも。心を楽にするために蓄積せずに発散することも大切ですよね。

自尊自立の為の家庭の医学では、自然治癒力は自律神経系、免疫系、内分泌系(ホルモン)の働きに加えて、感情や精神のレベル、肉体を超えた何かを含むもの、という風に考えたいと思います。
なぜ病気になるのか?なぜバランスを崩すのか?を考えるとき、どうしても肉体の機能的側面だけでは説明しきれないような気がします。

自然治癒力が働くとき、何かの症状が現れます。症状は「バランスが崩れているよ」というお知らせであり、それを正そうとする働きのために起こります。
自尊自立のための家庭の医学 番外編3 毒を以って毒を制するの本当の効用で、毒(物質)を体に入れた時の直接的な生体反応である一次反応と、一次反応の揺り戻しである二次反応がある、と述べました。この二次反応が起こるのは、崩れたバランスを元に戻すために、自然治癒力が反作用として働いているからですね。

同種療法であるホメオパシーでは、治癒の過程で感情の気付きや発散が多く起こります。肉体レベルだけでなく感情レベルでの癒しも起こるわけです。ただし押しこめていた感情や思い出したくない出来事を追体験することもありますので、決して楽な道のりではありませんが、本当の治癒というのはその人の心の変化が伴うものであると思います。このホメオパシーの創始者のサミュエル・ハーネマンは「病気は生命力の歪みによって起こる」と述べています。

少し抽象的なお話になりますが、肉体の中に閉じ込められている生命力が体内を循環するエネルギーのようなものだと考えてみて下さい。
私たちにはいろいろなこだわり、こうでなくちゃいけないと思うことがあります。「こうでなくちゃ」と思ったそれ以外の状況下ではとてもイライラしたり、何とかしようともがいてしまいますね。しかし、このことこそが、循環するエネルギーの流れの中に出来たブロック、淀み、ひっかかりなのです。そのことでいつもイライラしたり、そのことに気を取られた状態ではいつもそこにエネルギーが注がれることになります。このようにして、淀みの数が増えれば増えるほど、私たちが本来の生命を健康に維持していくことに使えるエネルギーが減り、流れも弱くなってしまう訳です。「こだわり」にも健全なものとそうでないものがあるでしょう。自分を省みず、周囲の状況を変えようと躍起になったり、いつまでたっても変更も修正も出来ない「こうでなくちゃ」は病的なものであると言えます。

実際悩んでるときは苦しいものです。いっそ手放してしまえれば楽になれるのですけど、それが出来ないから淀みが生じているし病んでいるわけです。
このブロックが外れるとき、そこに溜まっていたものが放出されます。ですから感情レベルでの痛みも体験するでしょう。思い出したくなかった記憶を思い出して大泣きしてしまうこともあるでしょう。でもそれが感情レベルでの治癒のプロセスであり、自然治癒力の働くプロセスなのです。自ら抑え込んでいた辛い体験や感情が噴き出す、抑圧に対する反作用がこれを手放すこと、ですね。

自然治癒力が働くとき、揺り戻しの症状がある、そしてそれは肉体レベルだけではなく感情レベルでも起こる、ということでむやみやたらに症状を忌み嫌わないようにしたいものです。

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