第3章 美しき哉、日本食の本質
握り飯は「おむすび」とも言うが、これは単に手で結ぶからだけではない。江戸時代の国学者、新井白石が著した『東雅(とうが)』によると、「むすび」は『古事記』の中に現れる「産巣日(むすひ)」または「産霊(むすひ)」と関係があるという。いずれも、「万物を生み、成長させる、神秘的で霊妙な力」を指すことばで、「むす」は「発生する、生える」の意、「ひ」は「心、霊」の意である。握り飯は何やらとてつもないパワーが込められている食べ物なのかもしれません。とてもシンプルで素朴な食べ物なのに、とても満足感があって不思議とうきうきとするような高揚感を感じます。そして何も具の入ってない真っ白な握り飯であっても米粒のおいしさを堪能できます。
握り飯は「おむすび」「おにぎり」とも呼ばれますが、調べてみると、この二つは意味が違っているように思います。「おむすび」は上記のように古事記の神産巣日神(かみむすひのかみ)に由来している、一方で「おにぎり」はご飯を「握る」という動作を表したにすぎないような感じでしょうか。
「おむすび」には昔の人の稲作、お米に対する特別な思いを感じます。稲は「い」=いのち+「ね」=根っこ、なんだそうです。また、男女が結婚するなど新しい縁を作ることを「むすぶ」といい、「むす」に「こ」あるいは「め」がつくと「むすこ」「むすめ」といいます。これが「むすぶ」という意味の本質なのでしょう。田植えや畑仕事は生きていく糧を得る営みです。そういう生産活動をした後で、万物を生む霊力を持つおむすびを食べる、そういう新たな命や力が生まれる循環をとても大切にしていたのではないかと感じます。そう考えると「おむすび」という言葉の方を大切にしたいなぁという気がしてきます。
おむすびの具はやっぱり鮭がいちばん好きかな
いろんな具を入れてみるのも楽しそうです→★
4 件のコメント:
面白い話を投稿きただき感謝です。おにぎりをきっかけに大和言葉について考えることができました。文末のリンク先にある「おにぎり」サイトもスゴいです!
稲の「い」が命、「ね」が根っ子の意味だというのが日本らしくていいですね。自分の中にやまとことのはを取り戻したいと思いました。
ありがとうございます。
「むす」+男女差をあらわす「こ」「め」を付けて「むすこ」「むすめ」といいます。
米(こめ)=こ・・・結ばれて生まれた息子+め・・・結ばれて生まれた女というような、お米は稲の子ども、お米を特別大切に思う昔の人の気持ちの表れではないかと考えたりしました。
むすことむすめもいい話ですね。
コメントを投稿